那須野ヶ原アニマルクリニック

栃木県大田原市の那須野ヶ原アニマルクリニックです。 獣医師2名、動物看護師3名で日々診療を行っています。

昨日は、獣医師会主催の講習会に出席しました。
講師の先生は、母校である日本獣医生命科学大学 臨床繁殖学教室の
筒井教授でした。


私は卒業して10年になりますが、学生時代に戻ったような
不思議な感覚で、講習をたっぷり満喫しました。


話の中心は人工授精についてでした。
JKC(ジャパンケネルクラブ)は2008年1月1日より低温精液と凍結精液の輸入を
認可したため、新たな命の誕生の仕方が加わったわけです。


ただ、凍結精液では受胎率がまだまだ低いようで、課題が残されているようです。


また認可されたのは海外からの輸入のみで、国内の輸送はまだ認められておらず、
車や新幹線、飛行機で犬たちを輸送しているのが現状です。



私たちの病院でも、人工授精によって誕生した命があります。
一つの命の大切さに変わりはありませんが、その陰で処分されている命があることを
考えると、とても複雑な心境です。


血統はとても重要なことだと思います。
遺伝性疾患を考える上でということで、ただただ子供を見たいから、
優秀だから、というのとは違います。
(これはあくまでも個人的な意見ですが)


流行の犬猫が爆発的に増えていく一方で、遺伝性疾患も増えていることを
忘れてはなりません。
繁殖には計画性を持たせるべきで、むやみやたらな交配は避けるべきです。


幸い、飼い主さんにこういった説明をすると、繁殖を熟考していただけます。
お子さまがいるご家庭でも、真剣にご両親がお話をしていただけると、
子どもたちは分かってくれるようです。


人の命も簡単に奪ってしまうような、そんな時代になってしまいましたが、
動物たちを可愛がっているご家族のお子さんたちは、健全に育ってくれるだろうと
期待しています。



話は少しそれますが、遺伝子検査で解明できる疾患も出てきています。
あらかじめ検査を行っておくことで、繁殖に適しているかを知ることも
できる場合があります。
(くわしくは、那須野ヶ原アニマルクリニックのHPをご覧ください)
   http://www.geocities.jp/nac_vet/index.html

 今回からは、犬のしつけ一般についてです。

 多少、ハウストレーニングと内容が重複する箇所があるかもしれませんが、
併せて読んでいただくことをおすすめします。

 また、こちらもハンドアウトとして病院にて配布させていただいております。
ご希望の方は、直接お問い合わせください。



★ はじめに

 最近、わんちゃんのしつけに悩んでいらっしゃるご家族に、
よくお目にかかるようになりました。

 『かわいいから、かわいがる』-これは当然のことです。
ただ、していいこと・いけないことをきちんとしつけてあげるのは、
わんちゃんを飼う飼い主さんの責任です。

 しつけとは、ただ厳しく叱りつけることではなく、
“人間と犬が良い関係で楽しく生活するためのルール”を教えてあげること
だと理解してください。


 ・わんちゃんが飼い主さんや他人に咬みつく
 ・欲しいものしか食べない
 ・散歩の時に行きたい方向を自分で決めてしまう
 ・来客に向かって吠える・跳びかかる
 ・他の犬・家族以外の人間を怖がる


 これらの問題行動は、しつけや社会化(後述)がうまく行っていないために
起こる問題です。
できればこうなる前にきちんとルールを教えてあげましょう。



★ しつけをはじめましょう


 しつけに最適な年齢は生後半年頃までです。
まずは、家族内の順位を教えてあげましょう。
犬は群れで生活するため、自分よりも上の順位のものには従順になります。

 ここで間違って犬が人間よりも上に位置付けられてしまうと、
『飼い主さんの言うことを聞かない困ったわんちゃん』になってしまいます。
わんちゃんは人間(たとえそれが小さなお子さんでも)よりも下に位置付ける
必要があります。



 まず、アイ・コンタクトを取ることから始めてみましょう。
名前を呼んで、飼い主さんの方を見たら、大げさに誉めます。
わんちゃんは誉められて嬉しくなり、それを喜んでするようになります。

 誉める時には、必ずしもごほうび(おやつやおもちゃ)は必要ありませんが、
数回に1回はそれらを用意してあげると良いでしょう。

 わんちゃんは、飼い主さんの言うことを聞くと、とってもいいことが起こることを
学んでいきます。

 この時に必要なのは、ご家族の誰に対しても、同じようにできることです。
皆さんが参加してしつけを行うことで、わんちゃんは自分の順位(言うことを
聞くべき人)を覚えていきます。
 

 アイ・コンタクトが取れるようになったら、自分のほうに呼び寄せてみて
ください。
来たら誉めてあげます。

 そうして順番に、おすわり、待て、伏せなどを覚えさせていきます。
おすわりは特に重要で、人や犬に会うとき(来客がある・散歩で犬とすれ違う)、
ごはんを食べるとき、散歩に行くとき(リードを付けるとき・玄関から出るとき)、
車に乗り降りするときなどには、必ず使います。


 こうすることで、来客や犬に吠えかかったり、跳びはねてリードをうまく
付けられなかったり、勝手に車から飛び降りてしまったり、ということを防ぐ
ことができます。


 
   ≪おすわりを指示するときの例≫

    1. ごはん・おやつのとき
    2. 散歩に行く前にリードを付けるとき・外すとき
    3. 玄関から出るとき・入るとき
    4. 散歩中に人や犬とすれ違うとき
    5. おもちゃで遊ぶとき
    6. 来客のあるとき
    7. 車に乗り降りするとき
    8. その他、注意を引きたいとき


 これらのことがうまく出来るようになれば、犬と人間の関係は
快適なものになると思いませんか?

 仔犬の頃はいくら吠えても飛びついても“よしよし”となでていたのに、
体が大きくなった途端に“ダメ”と叱っても、犬は決して理解できません。
また、小型犬だからとか、あまり散歩に行かないからしつけは必要ないと
いうものでもありません。

 言葉が通じないからこそ、仔犬の頃からのしつけがとても重要なのです。


 
 次回は、“でかけてみましょう” です。