獣医師になるためには、6年間大学に通わなければなりません。
卒業時に国家試験を受けて合格すれば、晴れて獣医師免許をもらえます。


学生時代には、大動物(おもに牛・馬をはじめ、豚・ヤギなど)
および小動物(犬・猫)、野生動物、魚、マウス、鶏など、
様々な動物について学びます。

また教科も非常に多岐にわたり、解剖学・生理学・微生物学・薬理学・
生理化学・病理学・内科学・外科学・放射線学・臨床繁殖学・寄生虫学
などなど…
基礎から臨床までみっちり知識を詰め込みます。


しかし。


人間の医療を見てみると、一人のお医者さんが一つの科を診療することが
ほとんどです(もちろんすべて勉強はするのでしょうが)。
獣医師のように、内科と外科をかけ持つことはありません。
(小児科を除いて)


どちらがいいかというと、どちらも長所と短所があると思います。


獣医学の長所は、獣医師一人一人が広く知識を持つことができ、
一つの病院でほとんどの病気に対応できること。

短所は、特殊な病気に対応ができない場合があること。
また、対応するためには遠方の医療機関(大学病院など)を
利用しなければならないこと。


医学の長所は、その分野に秀でた医者の医療を提供できること。

短所は、専門以外の知識がないことが多く、患者は一つ一つの症状に応じた
病院を訪れなければならないこと。
また、どこの診療科目を訪ればいいか、わからない場合があること。


アメリカでは、ホームドクター制度といって、かかりつけ医の制度があります。
病気になった場合は、内科・外科にかかわらずとりあえずホームドクターを訪れ、
診察を受けるのです。
獣医学も医学も、かかりつけ医でまず見てもらい、
必要があれば二次診療(専門医に紹介する)を受けるというようにしていけば、
もっと個人の力が発揮できるのでは、と思います。


そうなるまでは、ひとりひとりが広く深い知識と技術を身に付けなければ…
これも日々努力です。